目的
分子量が比較的近接した分子構造の異なる2種類の結晶(アダマンタン、安息香酸)を混合して昇華用試料とし、桐山製昇華精製装置を使用して昇華実験を行い、速度、昇華した結晶純度がどのようになるかを調べた。
実験
実験で使用した試料は、市販のアダマンタンと安息香酸を1:1=5g:5gに混合して用いた。昇華槽の上部から不活性ガスを少量吸引して気流を形成し、この気流に同伴して昇華した気体を析出槽に導いた。
実験終了後、昇華した結晶をガスクロにて分析した。
実験条件; 昇華槽ジャケット内の熱媒温度60℃、結晶析出管の冷媒温度-20℃、系内圧力50mmHg
原料物性
実験結果
実験で使用した実験で得られたガスクロチャートを下記に示す。昇華した結晶
昇華した結晶のGCチャート
釜残物
釜残物のGCチャート
今回の実験から下記のことがわかった。
- 融点的には、安息香酸の方ががアダマンタンより低いので、安息香酸が先に結晶化すると予想されたが、予想に反してアダマンタンの方が安息香酸より昇華し易いことがわかった。
- アダマンタンの結晶は固まりとなって析出管に付着する。真空トラップにまで飛んできて付着した。(結晶は無定形)