下記の画像は左から使用装置 中、イオン交換樹脂 右、留出液(上部にトルエンとシクロヘキセン、下部は水)
〈概要〉
アルコール類を脱水して、アルケン(二重結合)を作る反応は、有機合成化学では重要な反応である。アルケンは反応中間体としても有用なものが多い。
操作法は、フラスコ釜に原料と酸と、場合により溶剤を用いて加熱する。
反応速度に合わせて塔頂から目的物のアルケンと水と溶剤を抜出す。
酸として一般的に硫酸、または燐酸を使用する。
今回は、原料にシクロヘキサノール(沸点161℃)を使用し,触媒として強酸性イオン交換樹脂を用いた。硫酸などを使用の場合と同じように反応は問題なく進行する。
イオン交換樹脂の耐熱性は125℃程度なので、釜温度はそれ以下に抑える必要があるため、溶剤としてトルエン(沸点110℃)を使用した。
イオン交換樹脂はステンレス反応釜を腐食しないので、実際の生産にも適用できる。
生成物のシクロヘキセン(沸点83℃)と水は原料アルコールより沸点が軽いので、トルエン(沸点110℃)と共に留出する。いわゆる反応と蒸留を組み合わせた反応蒸留である。
副生物として二量体のエーテルが少量生成するが釜に残留する。
イオン交換樹脂は繰り返して使用できる。
上記グラフの黒線はExp.21(還流比10 :1 ) 、 赤線はExp23は(還流比5:1)を示す。
【結論】
Exp.21より更に抜出速度を速めたEXp.23の反応速度は結構速くなる。この場合反応は1時間程度で完結する。