
目的
分子量が比較的近接し芳香族化合物である2種類の結晶(安息香酸、ハイドロキノン)を混合して昇華用試料とし、 桐山製昇華精製装置を使用して昇華実験を行い、昇華温度によって昇華速度、昇華結晶純度がどのようになるか を調べた。
実験
実験で使用した試料は、市販の安息香酸とハイドロキノンを1:1=10g:10gに混合して用いた。昇華槽の上部から不活性ガスを少量吸引して気流を形成し、この気流に同伴して昇華した気体を析出槽に導いた。実験終了後、昇華した結晶をガスクロにて分析した。
実験装置の概略図

実験条件
原料物性
実験結果
実験で使用した実験で得られた結晶の写真とガスクロチャートを下記に示す。80℃での昇華結晶写真

80℃での昇華結晶GCチャート

80℃の釜残GCチャート

90℃の結晶GCチャート

100℃の結晶GCチャート

今回の実験から下記のことがわかった。
- 予想通り安息香酸が先に昇華し、純度の良い安息香酸が得られる。
- 昇華槽のジャケット熱媒温度は、安息香酸の融点より40℃低い温度80℃からでも昇華する。
- 昇華温度が低いほど安息香酸の純度は良い。但し、昇華温度が低いほど昇華速度は遅くなる。
- 安息香酸の結晶は長い針状結晶に成長する。