自己与熱式3重保温蒸留塔の性能(1)(特許出願中)

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目的

塔口径が小さい実験室規模の蒸留塔の場合、内容積に対する外壁面積の割合が大きくなるので、放  熱による内部還流が増加しフラッディングを起こし易くなる。
このため、通常は塔の外周にリボンヒーターを巻いて保温のための加熱を行なっている。 加熱し過ぎると塔内の気液平衡が乱れて分離性能の低下を招くので温度コントロールが結構難しい。
桐山製作所では、これらの問題を解決するために、新規な自己与熱式3重保温構造の蒸留塔を開発した。
今回は、この方式による塔径25mmΦ、充填高1000mmHの充填塔を用いて、基本的な蒸留性能の測定を行なった。
 

自己与熱式3重保温蒸留塔の構造

蒸留塔の構造は、釜フラスコから上昇する蒸気が本体と外カラムに分かれて上昇する構造となっている。
外カラムに上昇する蒸気は、本体のカラム温度とほぼ等しく、本体に熱を与えて保温を行なう働きをる。
さらにその最外側に真空ジャケットを付設した3重構造になっている。

塔性能の測定方法

釜フラスコに原料2成分を仕込み、加熱開始する。塔頂に蒸気が達した時点から塔頂と釜のサンプリングを行い、ガスクロにて成分組成を分析し、理論段数はFenskeの式から計算した。
HETPは充填高さ(mm)を理論段数(段)で割って算出した。
ΔP(mmH2O)は、U字管に水を入れて、釜内圧と大気圧の差から実測した。

測定結果

<生データ>


<結果のグラフ化>


 <測定条件>
   充填塔; 25mmΦ×1000mmH、充填物 桐山SUSネット0.10mmΦ 294g
   蒸留釜フラスコ; 容量3L、100W、57.5V
   測定試薬; n-ヘプタン(bp98.4℃)/メチルシクロヘキサン(bp100.9℃)=50/50wt

測定結果の考察

  1. 本測定条件では、全還流が安定した時点での理論段数=72段、HETP=14mm/段、塔圧力損失=30mmH2Oであった。
  2. 加熱開始してから、蒸気が塔頂に達するまでには1時間半を要した。還流が始まってから塔の気液分布が安定するまでには更に5時間を要した。
  3. 自己与熱式3重保温カラムにSUSネットを充填した蒸留塔は、フラッディングを起こし難く、他の充填物に比較しても非常に良好な分離性能を示すことがわかった。
  4. SUSネット充填塔の圧力損失も非常に小さいことがわかった。
  5. 試薬はいずれもC7炭化水素で沸点差は2.5℃と小さいが、粘度は小さく、沸点も高くないので、SUSネットを使った自己与熱型3重保温構造の蒸留塔は、理論段数を大きくすれば、容易に分離が可能で、このような場合には適していると思われる。
  6. 粘度が高い場合や沸点が高い場合には、SUSネットは濡れ面積が大きい為、充填密度を調整する必要がある。

スルザーパッキング対応

本蒸留装置は、スルザー規則充填物や、その他の不規則充填物等を目的に合わせて使うこともできる。

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