目的
前回までは蒸留塔充填物として、スパイラル型SUSネットを常圧で使用したときの蒸留塔の性能について述べてきたが、今回は、減圧運転時の塔性能を圧力を変えて測定した。塔内径は18mmΦ、塔高600mmH、充填密度を0.60g/ccに固定し、段数測定試薬は、n-ヘプタンとメチルシクロヘキサン系で、相対揮発度は文献を参考にアントワン定数を独自に算出して決定した。全還流が開始した時点から経時的に塔性能を追跡し、理論段数とHETPの変化をグラフで示した。なお、塔内径が18mmΦ以下では内部還流が増えてフラッディングの可能性が増す。
相対揮発度
実験結果
<仕様>充填塔;内径18mmΦ、充填高 H=600mm
充填物;SUSネット小スパイラル型、充填密度=0.60g/cc
蒸留フラスコ 容量;各0.3L、 ヒーターは桐山製モノヒート0.3L用 、100V/210W
実験結果の考察
- 常圧から 50KPa(400mmHg)程度までは塔性能の低下は少ないが、以後は次第に高真空になるほど、塔性能(分離性能)は低下した。すなわち、理論段数は小さく、HETPは大きくなった。
- 蒸留塔内の気液平衡が安定するためには、還流時間は1時間以上が必要であった。