
目的
桐山製作所で開発した蒸留用ステンレスネット充填物(SUSネット)は、既存の充填物に比べると 安価で性能的にも良い。
蒸留塔建設費を大幅に削減できる可能性がある。現在用途特許出願中である。
そこで、今回この充填物の性能について還流時間、蒸気焚き上げ量(電圧Vに比例する)がHETP(mm/段)に及ぼす影響を測定して性能を評価した。
実験方法
蒸留フラスコに、SUSネットを詰めた充填塔を、充填塔上部には冷却器を付設して、段数測定用試薬を仕込んで全還流を行い、 還流時間及び蒸気焚き上げ量(電圧Vに比例する) と理論段数の関係を調べた。
HETPは充填高と理論段数から計算した。段数測定用試薬はn-ヘプタンとメチルシクロへキサン(1:1重量比)を使用した。理論段数はフェンスケの式で計算し、相対揮発度αは1.075とした。
実験装置
蒸留フラスコ:容量500ml、桐山製モノヒート100V、300W/100Vにて加熱した。
充填塔:塔内径18mmΦ、充填高600mmH
充填物:SUSネットレギュラー型、充填量70g、充填密度0.459g/ml
実験データ
実験結果
- 充填塔内が平衡に達するには60分程度の全還流時間が必要であった。
- 塔内径18mmΦの場合、充填密度0.459g/mlでHETPは25〜30mm/段であった。
- 蒸気焚き上げ量(電圧)が小さいほど蒸留の分離効率は良い。
- 蒸気焚き上げ量(電圧)を上昇させて測定した場合と、降下させて測定させた場合とで、理論段数(またはHETP)の測定値は良く一致する。