
目的
実験室で蒸留を行なう場合、充填物の性能について 適切な実用的データが見当たらなくて困ることがある。
大抵は、適当に充填物を選んで選んで使用しているのが現状である。
適当に充填物を選択すると、後になって装置のスケールアップ または、実験を再現したいときには定量的なデータがないのでまったくお手上げになる。
そこで今回、代表的な蒸留充填物について、概略の蒸留段数が定量的に把握できるようにHETPを測定した。
なお、充填塔ではHETPが小さい程分離性能が良い。
これらのデータが実験家の皆様の参考になれば誠に幸いです。
測定結果
代表的な充填物の性能
SUSネットの充填密度と塔性能
実験結果の考察
- 測定した充填物のなかでは、スルザーパッキングEXが最高の性能を示した。
HETPは約15mm/段であった。 - 次に性能が良いのは、SUSネット(最大充填密度0.459g/ml)とオーバルリングであった。
いずれも塔径18mmでHETPは約25mm/段であった。 - SUSネットの場合は、他の充填物と違って充填密度が変えられるという特徴がある。
充填塔の理論段数は充填密度に比例し、HETPは充填密度に反比例する。 - 充填塔上部にある空間は蒸留塔の分離性能を大きく損なうものではない。
- SUSネットはきわめて安価で、分離性能は実用的には充分使用可能であることがわかった。