目的
今回は、芳香族系同士の安息香酸とフェノールのエステル化反応をトルエン溶媒中で行ない、嵩高い芳香族系同士の化合物の場合、エステル化反応の速度がどうなるかを検討した。
生成する水は、パイプ状のゼオライト膜(三井造船㈱Na4A型)を使って水のみを選択的に除去する。
触媒は今までと同様に強酸性樹脂(オルガノ社製アンバーリスト-15)を使用し、劣化の有無、再使用の可否を調べた。
水抜き反応装置実験法
ゼオライト膜の外径は12mm、蒸気上昇部カラム径は外径20mm(内径16mm)、カラムとゼオライト膜とのクリアランスは2mmのものを使用した。触媒を再使用する場合には、反応後に反応液をデカント除去し、新品トルエンで5回洗浄して用いた。
安息香酸に対するフェノールのモル倍率を2倍一定とし、反応温度はすべて118〜124℃であった。
測定結果
反応時間と転化率の関係、生データ、および反応仕込条件を下記に示した。
<図1>反応時間と転化率の関係
<図2> 実験の生データ
<図3>仕込み条件
測定結果の考察
- 嵩高い芳香族系の安息香酸とフェノールでもトルエン溶媒中でエステル化反応は進行する。
ただし、脂肪族系同士のエステル化反応に比べると遅い。 - 新品触媒の場合は、再使用触媒に比べて反応速度は速い。
再生触媒を繰り返して使用する場合、2回目以降は反応速度は変わらない。
これは、新品触媒では、反応中に攪拌回転子によって触媒の磨耗が起こり、微粉砕化された触媒が反応後のデカント洗浄でロスするためと考えられる。
ちなみに、一回目の触媒減量は10%程度であった。
2回目以降の触媒の磨耗はほとんどなかった。