水抜き反応(1) 触媒再使用

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目的

水が生成する化学反応では、脱水することによって反応が完結する場合が多い。
例えば、エステル化反応が代表的なものである。
桐山製作所では、ゼオライト脱水膜を使用して手軽な実験用脱水反応装置を開発した。
今回は、カプリル酸(オクタン酸)とエタノールをアンバーリスト-15触媒(強酸性イオン交換樹脂)によってエステル化した場合について実験を行なった。生成物はパイナップルの香りとなるカプリル酸エチルである。
反応速度及び触媒を繰返し使用したとき触媒の劣化程度がどうなるかを反応速度定数kによって評価した。
C7H15COOH + C2H5OH ↔ C7H15COOC2H5 + H2O

水抜き反応装置実験法

フラスコにカプリル酸、エタノール、アンバーリスト15(触媒)を仕込み、パイプ状ゼオライト膜Aの上端からコールドトラップBを経由して真空ポンプCによってパイプ内側を減圧にした。
パイプには水のみを選択的に通過する孔が空いているので、水だけが除去される。
フラスコを加熱し、エタノール蒸気が冷却器Dに達して還流が始まった時点を反応開始時間として、経過時間と転化率の関係を測定した。
触媒を再使用する場合は、デカントして液のみを除去したあと、触媒をエタノールにて5〜6回洗浄、デカントを繰返してから使用した。

測定結果

反応時間と転化率について生データを得て下記グラフを作成した。

生データ


<経過時間と転化率の関係>



<実験条件> 
 




測定結果の考察

1.下記2次式に従って反応速度定数を計算すると、触媒が新品の場合は。k=1.5であった。

2.触媒を繰返し使用した場合、新品触媒に比べてkは4割程度小さくなる(即ち反応時間が4割遅くなる)が、それ以後、再使用を3回繰返しても触媒の劣化はほ=0.9一定であった。
この事実は、同じ反応を繰り返し行なう場合は、強酸性イオン交換樹脂触媒が工業的に非常に有効であることを意味している。
即ち、硫酸などの強酸性液体触媒に比べて、腐食の心配がない、廃水が出ない、仕込量が減少する、水共沸用のトルエン等が不要、エタノールのロスがなくなる、などグリーンケミストリーに貢献する方法である。

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