目的
前回に引き続いて、スピニングコーンカラムテスト機を使用して柑橘類以外の素材を原料にして水蒸気による抽出実験を行った。
目的は、抽出水の香りの確認とガスクロチャート採取である。
スピニングコーンカラム装置写真と実験法
操作法;左上方のサーバーから原料液を供給する。左下方のノズルから水蒸気を導入し、原料中の香気成分を水蒸気で抽出する。
香気を抽出した水蒸気は右上方の冷却器で冷やされて液に戻り受器に捕集される。
原料;
今回使用した原料は下記5種類である。
①パイナップル ②ズワイガニ甲羅 ③茶葉 ④生海老の殻 ⑤薔薇の花弁
試料を10倍量程度の水とともにミキサーに入れて攪拌してスラリー状にし、加圧濾過して、その濾液を原料とした。
実験結果
得られた濃縮水のガスクロチャートを添付します。
<図1>パイナップル
<図2> ズワイガニ甲羅
<図3>茶葉
<図4>生海老の殻
<図5>薔薇の花弁
実験結果の考察
- 植物性原料から得られた抽出水は、時間が経過しても香りが持続する。 空気中室温で約半年経過しても香りの消滅はわずかであった。
- 海産物原料からの抽出水は、時間の経過とともに香りが弱くなる。この原因は酸化反応が進行するためと考えられるので、採取後直ちに窒素ガスを封入して低温保存するのがよい。
- いずれの場合も、得られた抽出水サンプルは、無色・透明で腐蝕がないので防腐剤無しでもかなりの期間保存できる。
- 抽出水のガスクロチャートが得られたが、それぞれのピークの化学構造を決定するまでには至っていない。Gas-Mass、NMR等で分析すれば有用な情報が得られると思われる。