目的
天然物から香気成分を抽出する製造装置として、原料換算で1時間当たり1〜10ton程度処理できるもの(スピニングコーンカラム)が市販されています。
この装置は香気成分を含む原料水を通常は10倍程度まで濃縮するもので、連続的に大量処理する装置です。 原料がスラリーであっても対応できます。
香料、食品、化粧品などの企業で使用されています。
しかしながら、この装置のテスト機がないため、導入を検討している各社では、ためらっている面があると聞いています。
そこで、 桐山製作所では、製品としての感触がつかめるようにガラス製テスト機を開発しました。ガラス製なので内部の様子を観察しながら運転できます。
スピニングコーンカラム装置写真と実験法
操作法;
左上方のサーバーから原料液を供給します。左下方のノズルから水蒸気を導入し、原料中の香気成分を水蒸気で抽出します。
香気を抽出した水蒸気は右上方の冷却器で冷やされて液に戻り受器に捕集されます。
原料;
今回は精油を比較的多く含む柑橘類を原料にして香気を抽出しました。
①オレンジ全部 ②オレンジ果皮 ③レモン全部 ④レモン果皮 ⑤グレープフルーツ全部
試料を10倍量程度の水とともにミキサーに入れて攪拌してスラリー状にし、ガーゼに包んで絞り、その濾液を原料としました。
実験結果
得られた濃縮水のガスクロチャートを添付します。
<図1>オレンジ全部
<図2> オレンジ果皮
<図3>レモン全部
<図4>レモン果皮
<図5>グレープフルーツ全部
実験結果の考察
- 柑橘類の精油は一般的にはd-リモネンが主体成分となっているが、レモン全部、グレープフルーツ全部の抽出水では、かならずしもd-リモネンは多くなかった。果皮の部分ではd-リモネンが多い。
- 香気抽出水は、すべて無色透明で、糖類、たんぱく質、無機塩などを含まないので、防腐剤などを添加しなくても腐ることはない。
- 本テスト装置を使用すれば、製造装置に近いサンプルが実験で得られます。