目的
実験でジムロートを使用する場合、特に、釜フラスコとジムロートの適正関係を考えてジムロートの大きさを選択することはしていないようです。
実験家の経験と勘を頼りにジムロートを選んでいるのが現状だと思います。
ジムロートの性能が多少不足していても、大量の冷却水を流せば、大抵の場合、実験において支障はありません。ところが昨今、環境問題が大きなテーマとなり、化学実験においても例外ではなく、排水は出来るだけ抑えることが望まれます。
そこで、桐山製作所では、環境問題を踏まえて、最少量の冷却水を使った場合、弊社のジムロートは、逆にどのようなフラスコに適しているのかを提案するため、適正評価方法を検討してみました。
ある程度の目安となる数値が得られましたので、ご参考になれば幸いです。
実験条件
- 還流液としては、蒸発し易いジエチルエーテル(沸点35℃)を使用した。
- 実験で仕込むジエチルエーテル量は、釜フラスコ容量の50%とした。
- 冷却水は水道水を使用して、流量は切れ目なく流れる最低量とし、1分間200ml(流量にして0.1m/秒)とした。水道水の入口温度は20℃前後とした。
- ジムロートの標準還流点(蒸気が戻る点)はジムロート全長の1/3とした。ここで提案したジムロートの推奨値は、還流溶媒としてジエチルエーテルを基準としているので、安全面を考慮し 充分大きめに設定してある。 他の溶媒を使用する場合は、小さめのジムロートでもよい。
計算方法
徐熱量 = 冷却水流量×(出口水温-入口水温)
但し、徐熱量[cal/分]、冷却水量[ml/分]、水温[℃]
エーテル還流量=(徐熱量×60÷蒸発潜熱)÷エーテル比重
但し、エーテル還流量[ml/時]、蒸発潜熱[83.9cal/g]、エーテル比重[0.708]
計算上の適切フラスコ容量はエーテル還流量の2倍容量とし、推奨フラスコ容量は計算容量を切り上げて、市販のフラスコ容量にあわせた。